2011年3月8日火曜日

「冬の旅」

 
 「冬の旅」は私の好きな名曲の一つ---------と云ったところで、検索からお借りした解説を載せてみましたので----------。

 
 本作は1823年に作曲された『美しき水車小屋の娘』と同じく、ドイツの詩人ヴィルヘルム・ミュラーの詩集による。2部に分かれた24の歌曲からなる。
 『水車小屋』が徒弟の若者の旅立ちから粉屋の娘との出会い、恋と失恋、そして自死を描いたのに対し、『冬の旅』では若者は最初から失恋した状態にあり、詳しい状況は語られないが街を捨ててさすらいの旅を続けていく。
 全曲を通して「疎外感」、「絶望と悲しみ」、「決して得られないもの、もう失われてしまったものへの憧れ」に満ちており、唯一の慰めである「死」を求めながらも旅を続ける若者の姿は現代を生きる人々にとっても強く訴えかけるものがあるとされ、一般に彼の3大歌曲集とされる当作品及び『美しき水車小屋の娘』、『白鳥の歌』の中でも、ひときわ人気が高い。
 シューベルトの健康は、1823年に体調を崩し入院して以来、下降に向かっていた。友人たちとの交流や旅行は彼を喜ばせたが、体調は回復することはなく、経済状態も困窮のまま、性格も暗くなり、次第に死について考えるようになる。
 とりわけ、ベートーヴェンの死は、彼に大きな打撃を与えた。シューベルトがミュラーの『冬の旅』と出会ったのは、1827年2月のことであった。彼はこの詩集の、絶望の中で生きなければならない若者の姿に、自分を投影したのだろうと思われる。
 シューベルトは前半12曲を完成させ、友人たちに演奏したが、あまりの内容の暗さに彼らも驚愕したという。シューベルトはこの12曲で作品を完成としたが、続編の存在を知った彼は再び作曲に取り掛かり、続編の後半12曲を10月に完成させる。第1部は1828年1月に出版。第2部は彼の死後の12月に出版された。

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