2013年8月6日火曜日

「菊と刀(かたな)」



戦時中の、日本人が眺めるアメリカ人像は、単純で滑稽なものでした。つまり、アメリカ人はすべて残忍、残虐、で日本人の人肉を食い、日本人の頭蓋骨を飾って楽しんでいる---そのような獣(けもの)のような生き物に思われていましたね。
 
一方、アメリカ人の日本人に対する見方は、もっと酷いものがあったと思いますよ。日本人は人間ではなくて、単なる黄色い動物で、アメリカ人に対抗出来るような人間とは全く思ってもいなかったと考えられますね。

 然し、日本がアメリカ人に対する見方を幼稚なままに済ましていたのに反し、アメリカの方では然るべき人物が冷徹な目で日本人をトータルとして把握していたようで〜。
それの代表格が、戦後の日本占領政策と日本統治に生かすべくアメリカ政府が日本研究を委託したルース・ベネデクトでしょうか。

彼女は人類学者の立場から有名な「菊と刀」を戦時中に書き上げ敵国日本人の姿を明らかにしたのでした。
 
「菊と刀」が日本で出版されたのは昭和23年、私がそれを読んだのは高校時代、勿論、評判の本だと知ったからでした。

 アメリカ人は単に残虐な人種だと簡単に決め付けていた日本人にとって、アメリカ人がこれ程まで日本人を研究していたのか、と、それを知って、それはそれは大変な驚きでしたよ。

 それがどんな本であったか、詳しい中身については殆ど忘れ去っています。とりあえず、その本はどんな本であったか、例のように百科事典で調べてみました。

〇中身に歴史性がない、という痛烈な批判があったのを覚えています。
然しベネデクトにとっては日本人の泡のような文化は敗戦でゼロになってしまうのであるから、今更その文化の「歴史」を云々してもはじまらない、と、そんな程度の軽い気持ちがあったのではないかな、と思っていた気がしますが。

 なにせ、戦争で敗北させる事、加えて、日本文化を非正当化する事によって、新しい日本の歴史をスターとさせるのだから、そこには日本文化の歴史を改めて掘り起こす作業は不必要だったわけでしょう。当然ながら彼女は日本文化の将来像にも何も触れてはいませんね。

〇更に、アメリカ人の日本占領でとられた寛大で寛容な政策は、アメリカが土着のインデアンに対して取った政策と同じである---彼女の論旨はそれに乗った内容に過ぎない、そんな感覚でも受け取っていました。
従ってそこには勝者の敗者に対する傲慢さが隠されているだけの事。
そのよって立つ政策の基本に「菊と刀」があったとすれば、それこそ彼女にとっても勝利の 雄叫び(おたけび)以外の何物でもなかった---------そうも思えましたが。

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