2012年4月1日日曜日

戦争作文から

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 隼に乗って
(1)ハワイ攻撃
 日本晴れの朝である。烏が「かあ〜かあ〜」と鳴いて通り過ぎて行く。けたたましいラッパの響き全員集合だ。
「番号!」
「一、二、三、四、五、六------」
 次は隊長の話。それによると、いよいよ日本と米英の戦が始まったといふことである。
 航空母艦に乗って、めざすハワイへ堂々と進む。ハワイは刻一刻と近くなって行く。
 ◯時◯分、いよいよもってハワイ攻撃である。
 隊長の訓示を受けると、まちにまった我が雷檄機の出動である。
 隊長が旗を振ると、一番機はみごとに、かっそうして飛びたって行く。
 全部の雷檄機が飛び立つと、我が「隼」戦闘隊である。
 二隊が飛び立つと、航空母艦は、向ふの朝ぎりの中へ消え失せてしまった。
 この戦爆れん合の 目へう(目標)は ハワイの真じゅ湾である。
 「よし」といって僕は白はぢまきをしめなほした。そして、さうじゆうかん(操縦桿)を右にまはす。
 機は右へまはる。陸地が見えた。めざすは、しんじゅ湾である。
 時は〇時〇分「突っ込め!!」の命令である。
 下を見れば、アメリカ艦隊の戦艦が群をなして うかんでいる。
 せんとうは カリフオルニヤ型 メリーランド、オクラホマ、ネグアダ、ユタ、ペンチルバニア、ペンサコラ、
 オマハ、ノーザンプトン、
 かぞえきれないほど群れをなしている だが またたくまに姿をかへってしまった。
 カリフオルニヤ メリーランド オクラホマ ネグアダ ユタ型 始め多くが 撃沈 されてしまったのである。
 たほるる船 ちんぼつする船 ひっくりかへる船 我が「隼」は 電撃が おはるまで 空中でみはりをしている、
 どこからともなく「ポンポン」と敵の高射砲弾が炸れつする、すると、こしゃくにも
 敵の戦闘機 グラマン機が群れをなして飛んで来た 我が「隼」は「よく ござんなれ、相手に、ふそくはなし」
 といはんばかりに飛びかかっていった。
 敵機は嵐の落葉のやうに落ちていく、ただ まよふのは ひのまるの銀翼 それを見とどけながら 
 戦爆れん合隊は堂々と そこを引き上げていったのである。
(2)ビルマ戦線
 ここはインドのアキャブの飛行場 有名な加藤少将の居る所だ。飛行場に並んでいる隼は朝の光をうけて
まぶしいほど光っている。
 そしてそこでは、整備員が愛機「隼」を手入れしている。「隼」にとっては、整備員は命の親である。
 僕はさう思って「隼」の方へ進んで行くと、妙な爆音が聞こえる。「さては」と思ってよく見ると英国の新鋭機
 モスキート双発戦闘機である。
 僕はいそいで愛機の方へ走り出した。ああぶない機銃さう射だ。僕は ぱっと地に「ふした。
 通り過ぎると又走る。走ると思うと又来る。
 それを七度くりかえして、やっと愛機へたどりついた、向かふを見れば あっ一機が火をふいている。
 何しろ、あのモスキートは機首に二十粍機関砲 四門七.七粍機銃四挺といふ物凄い武装をしているのですから
たまりません。
 そして速度は時速最大六百五㎞ にたっしています。独空軍の新鋭機フオッケウルフも、容易に追いつけなかった
ことも無理はありません。
 さて、我が「隼」はエンジンの音を響かせて「必ず勝つ」の信念をもってモスキートにぶっつかっていった。
 モスキートには後ろからねらふのである。
 後ろには一機の機銃もありませんから、たちまち ほのほ をはき 向かふにいる ブタの子 めがけて体あたり、
ブタはブタで そんなこと ゆめ にもしらず「ブー」ともいはないで死んでしまった。
(3)内地にて
 ここは内地の九州 西部である。
 僕はあれからずっとこちらに帰ったのである。
 そこで ぶらりぶらりと遊んでいた。いつのまにか1月もたっている。
 だが、ある夜突然 けいかいけいほう(警戒警報)がなった。僕は、すっかり準備をして床に入る時だった。
「ウ---ウ----」と空襲警報、僕は がばとはねおきて飛行場へかけつけて行った。みなが待っている。
 番号をかける ひま もなく、我が「隼」へかけつけて行った。
 すさまじいエンジンの音、いつのまにか高度二千米の上空である
 下では、たんしょうとう(探照灯)がキラキラと光っている。
 すると一角に、物すごい爆音がして、敵米の最新式の超重爆撃機「超 空の要塞」であるB−29が二十数機が
来襲して来た。
「ブー」と気味の悪い爆音、あつ 敵ボーイングは、爆弾を投下しました。それが吸い込まれるやうに落ちていくと、
 下の方でかすかに赤い火がぱっともえあがった。
「えい にっくきりめ、こうしてやる」と云って、もうぜんとかかっていった。
 ボーイングはここまで来るとは気がつかなかったでせう、たちまち逃げて行ってしまった。
 だが、いくら機銃を射ってもおちないのである。それには僕はへいこうしてしまったが、やっと一機しとめると
我が「隼」からも火が吹き出している。
「無念」と思ったが仕方がない。今はこれまでと かくごをきめた。
 僕は、もうれつな勢いでボーイングにぶっつかっていった。
 体あたりをされては ひとたまりもない、たちまち2機ともヤミの中へ消えうせてしまった。
 しばらくして、気がつくと、ここはベッドの中で寝ている。そばでは隊長が心配さうに僕を眺めている。
 僕はなにが何だかさっぱりわけがわからなかったが、よく聞くと あの時体当たりをして落ちて行く時
 僕が背負っていた落下傘が開いて僕はそのまま落ちて行ったのだったそうだ。
 飛行機を見れば、落ちて来るあひだに もう一機のボーイングに体当たりをして、三機もろもろ落ちて来たと
 いふことがわかった。
 僕はよくも生きていたと感心しながら ひや汗をかかされてしまった。
 (4)レイテ島
 ここはレイテ島のブラウエン飛行場である。
 レイテ島には敵は もう すでに十個しだん(師団)も上陸しているのである。
 それを乗せてくるのは船だ、その船を爆さい するために日夜我が航空隊が撃沈又は撃破しているのである。
 特に有名なのは、神風特別攻撃隊だ。
 僕はその神風特別攻撃隊の 「「しきしま(敷島)」隊に入っているのでうれしい。
 今日は特にタクロバン飛行場にいる敵機をげきめつすることに命じられました。
 我が敷島隊のうち もっとも勇かんな者五人をえらび出した。
 五機の「隼」はたちまち雲の中へと見えなくなってしまった。雲の中を数分行くと、まもなくタクロバン飛行場だ。
 かっそうろ(滑走路)には敵機 カーチスP40 ノースアメリカン「ムスタング」P-51
 マーチンB-26型爆撃機など、群れをなしておいてある「よ〜し急降下だ」と思って、たちまち急降下していった。「キーン」といふ音でタクロバン飛行場は目の前にぐんぐん大きくなっていくと、
 見るまに耳もつんざけるやうな爆音と煙の中でしばらくは何も見えなかった。
 我を忘れて さうじゆうかん(操縦桿)を引くと機は「じーん」と機首を引き直し急上昇をしていった。
 雲の中へはいって ほっとため息一つついて下を見るとマーチンやカーチスなどが あはれな(哀れな)むざんな姿
をしてもえあがっていた。
「味方機は」と思って後ろを見ると三機がいる。
 自分の飛行機を加えると四機 一機たりなし、僕はむねん(無念)のは(歯)をくいしばった だが たちまち
かっとなって「ああ悪かった 体当たりをするのが自分の使命だった」
と思ったが 仕方がないので やむなく はんてん(反転)する。
 (5)レイテ湾
 今日は敷島隊全部こぞって敵艦げきめつに向かった。
 敵艦は 一せいに防空砲火をうちだす中を 我が「隼」は、もうぜんと体あたりをした。敵 航空母艦の
こうかんぱんに一機命中、
 敵空母は たちまち黒煙をのこしてレイテ湾の海の底へ沈んでいった。
戦艦に命中した一機は、みごと司令部へ命中したが、むねん敵戦艦は大破しただけで逃亡してしまった。
友機は次々に体あたりをしていって ぱっと花を散らす、 残っているのは自分の飛行機だけ。
僕は気がもめる「えい」といって思ひきって急降下して行った。
「キーン」といふ気味の悪い音「あーー神さま」と拝んでいる間に目の前が真っ暗やみになってしまった。
 気がつくと、それはそれはふとんの中である。
 ゆめとは思わぬゆめなので、僕は 綴方 にかくことにしたのである。

 ※以上、小学校5年生から6年生にかけての頃の作文からでした。

1 件のコメント:

  1. ここに出て来る戦闘機「隼(はやぶさ)」は陸軍の戦闘機なので、その隼が、
    航空母艦から発進する筈はありませんね。
     まあそのあたりを含めて おかしい箇所、変な所、多々ありますが大目で見て下さるようにお願い申し上げますので。 
     齋藤 彰

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