戦時中の、日本人が眺めるアメリカ人像は、単純で滑稽なものでした。つまり、アメリカ人はすべて残忍、残虐、で日本人の人肉を食い、日本人の
頭蓋骨を飾って楽しんでいる---そのような獣(けもの)のような生き物に思われていました。
一方、アメリカ人の日本人に対する見方は、もっと酷いものがあったと思います。日本人は人間ではなくて、単なる黄色い動物で、アメリカ人に
対抗出来るような人間とは全く思ってもいなかったと考えられますね。
然し、日本がアメリカ人に対する見方を幼稚なままに済ましていたのに反し、アメリカの方では然るべき人物が冷徹な目で日本人をトータルとして
把握していましたよ。
戦後の日本占領政策と日本統治に生かすべくアメリカ政府が日本研究を委託したルース・ベネデクトがその人物です。
彼女は人類学者の立場から有名な「菊と刀」を戦時中に書き上げ敵国日本人の姿を明らかにしたのでした。
「菊と刀」が日本で出版されたのは昭和23年、私がそれを読んだのは高校時代でしたね。勿論、評判の本だと知ったからでしたよ。
アメリカ人は単に残虐な人種だと簡単に決め付けていた日本人にとって、アメリカ人がこれ程まで日本人を研究していたのか、と、それはそれは
大変な驚きだった筈です。
それがどんな本であったか、詳しい中身については殆ど忘れ去っていますが、とりあえず、その本はどんな本であったか、例のように百科事典
で調べてみました。
◉中身に歴史性がない、という痛烈な批判があったのを覚えています。
然しベネデクトにとっては日本人の泡のような文化は敗戦でゼロになってしまうのであるから、今更その文化の「歴史」を云々してもはじまらない、
と、そんな程度の軽い気持ちがあったのではないかな、と思っていた気がしますね。
なにせ、戦争で敗北させる事、加えて、日本文化を非正当化する事によって、新しい日本の歴史をスターとさせるのだから、そこには日本文化の
歴史を改めて掘り起こす作業は不必要だったわけでしょう。当然ながら彼女は日本文化の将来像にも何も触れませんでした。
◉アメリカ人の日本占領でとられた寛大で寛容な政策は、アメリカが土着のインデアンに対して取った政策と同じである---彼女の論旨は
それに乗った内容に過ぎない、そんな感覚で受け取っていました。従ってそこには勝者の敗者に対する傲慢さが隠されているだけの事。
そのよって立つ政策の基本に「菊と刀」があったとすれば、それこそ彼女にとっても勝利以外の何物でもなかった、そう思えました。
◉「各々そのところを得て生きていく」この文言はよく覚えています。
〜00年以上前に読んだ本ですよ。遠い記憶を辿って、その程度の論評?が精一杯のところかな。
どなたかコメントを下されば本文を再度読む事にして、改めて感想文を書くことも吝か(やぶさか)ではないのですが・・・。
図書館で当時の本そのもも探そうとしたのですが、読むとしても少しばかり荷が重いので今回はパスしました。
本そのものの装幀は紺色だったとの記憶だけは残っていますが。
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