2010年5月29日土曜日

画法


 平安時代の物語絵巻などを見て気がつく事は、遠近法を無視した画法が おかしいと思う反面、それが独特の正しい表現方法だと感心する場合があります。
 人間の目は、確かに向こうが小さく見える事で、常識的な視野が得られるように作られていますが、もう一つ踏み込めば、どこを注目して見ているか、と、その点も問題になる筈ですよね。
 注意する点については、肉眼は無意識のうちに、正確に、そして大きく見えるように精一杯努力?する筈ですよ。そんな場合は それの周囲が大きかろうが小さかろうが問題はナシです。
 ------------ とすれば全体が注目される絵では 遠かれ近かれ、均等に大きく描いても間違いにはなりません。

 載せた絵など、単純な遠近法で描いたら見られたものではありませんよ。
 それを踏まえて、登場人物に等しく注目して貰いたいと考えれば、全員を同じ大きさに描いてこそ、その思いが達成するわけで、そこには何の問題も発生しないと思いますが。

 現在ですら、遠くの人間集団を望遠レンズで撮影する場合など、それに似た奥行きの乏しい平板な写真が出来ます。当然ながら、そのせいで、遠くの人間集団の集団としての様相が掴めるわけですよ。
 遠近に拘ってはダメでしょうね。ポイントなるべき事象こそ大きく描くのが正しい画法でしょう。

 もう一つ加えれば、どこから見ているのか、その視点も問題。
 それには、視点がどこにあれ、自分で想定した視点から見た絵を描くのも画家にとっては許される手法と知るべきでしょう。
 現在の我々が、宇宙の事象を描く場合など、それと全く同じだと考えますね。どこからの視点であれ自由なのですから。

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