以前、桃太郎について新説(珍説?)を載せたことがあったのですが、我ながら面白く出来たので、ここに再度アップしてみましたので〜。
以下〜。
.桃太郎(ももたろう)
作詞者 不 詳 作曲者 岡野貞一
1 桃太郎(ももたろう)さん 桃太郎さん
お腰(こし)につけた きび団子(だんご)
一(ひと)つわたしに くださいな
2 やりましょう やりましょう
これから鬼(おに)の 征伐(せいばつ)に
ついて行(ゆ)くなら やりましょう
3 行きましょう 行きましょう
あなたについて どこまでも
家来(けらい)になって 行きましょう
4 そりゃ進(すす)め そりゃ進め
一度(いちど)に攻(せ)めて 攻めやぶり
つぶしてしまえ 鬼が島(しま)
5 おもしろい おもしろい
のこらず鬼を 攻めふせて
分(ぶん)どり物を えんやらや
6 ばんばんざい ばんばんざい
おともの犬(いぬ)や さる きじは
勇(いさ)んで車(くるま)を えんやらや
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桃太郎の話をひとくさり申し上げます。
~~ おじいさんは山に柴刈りに、おばあさんは川に洗濯に...
桃太郎の話は ここから始まりますが、これは「父の恩は山よりも高く、母の恩は海よりも深し...」
この教えに基づいている----とは よくお聞きになると思いますが?・・・・。
桃太郎の話は そのように 説話的 道徳的観点から論じられているケースが多いようです。
但し、今回の話は、それとは別の次元での話になります。
桃太郎の話は単なるお伽話とは云っても その中には いろんな意味が隠されているのですよ。
まず・・・
桃太郎はキビダンゴを持っているので、住んでいた場所は 吉備の国 現在の岡山県である事が判ります。
それがあって、岡山駅前には桃太郎の立派な銅像がありましたね。
(キビの文字は「黍」が正しいのですが ここでは詳しい説明は省略。)
.
桃太郎は、そこを起点にして、鬼退治に向かうわけですが、目的地は 鬼が住んでいる北東方面、十二支で云う「鬼門」方角でした。
十二支では ご存じの通り、時計回りで12時 子(ね)を起点として、右まわりに 次は 丑(うし) 寅(とら)---- と続きます。
その刻みを方角に置き換えると、丑(うし) 寅(とら)は 北東の方角となります。 そのあたりの方向が 鬼門 です。
北風が吹いて来る寒い方向ですよ。不吉で悪い方向ともされていますね。
鬼は当然ながら その不吉で悪い鬼門の方角に住んでいるのです。
鬼達はいずれも、丑(うし)寅(とら)の住人、従って、文字通り「牛」のツノを生やして「虎」の模様のフンドシをしめています。
----理屈に合っていますよね。
一方、十二支で 、鬼門の反対に位置する めでたい方角は 暖かくて明るい東南の方向です。
そこには 狗(いぬ) 申(さる)酉(とり)が位置しています。
桃太郎は、これも当然ながらそれに由来する 犬 と 猿 と 鳥(キジ)を連れて行ったのですよ。
これも理屈に合っているのが判るでしょう。
岡山から鬼門、つまり北東方面となると どこが該当するのか はっきり判りませんが、ひとつ確かな事は、山陰地方一帯に、
当時から、金、銀、鉄、等の鉱山資源が豊富に産出していた事実があります。
従って、鬼達はそこに従事していた鉱山労務者、と考えてよろしいでしょうね。
(山陰地方には現在でもたくさんの鉱工業の工場があります。)
彼等は各種溶鉱炉の高熱のもとで 昼夜 働いていたので、夜目には真っ赤な姿に見えたと思いますよ。
鬼の大多数が赤鬼であった理由はそこにあります。
但し、中には赤のみならず 青鬼 やら 黒鬼 等もいたと思いますが、いずれもその場の状況で いろんな色に見えたでしょう。
但し、ピンクと空色の水玉模様、花をあしらったカラフル模様 とかの鬼はいた筈はありませんね。
その延長線で考えてみると、現在、山陰地方の民謡「どじょう掬い」でオッチャンが ザル を持って安来節を歌っている光景を目にしますが、
あれは ドジョウ ではなく川で砂金を採取していたと考えるべきでしょうか。多分 その方が正しいでしょうね。
----- それにしても、彼等が何故 鬼 と呼ばれ 極悪人とされていたのか。
当時は天照大神(あまてらすおおのかみ)を先祖とする伊勢神宮が最大勢力だった反面、大国主命(おおくにぬしのみこと)を先祖とする出雲大社は、
それに対抗する地方勢力の一大拠点でした。両者は覇権を争っていたのです。
因に、神社にお参りする時の 参拝の仕方 は両神社では現在でも違っていると聞きます。
どんな風に違っているのか詳しくは知りませんが、頭に頂いている神様が違うのですから 両者には争いも当然ながら発生したでしょう。
伊勢神宮派?の桃太郎が 出雲大社派の鉱山労務者を「敵 」と見た---としても不思議ではありません。
桃太郎の本では、鬼退治によって最後は伊勢神宮派の勝利で決着しています。
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桃太郎が獲得した戦利品は 金銀珊瑚綾錦(きんぎんさんごあやにしき)でした。
金銀は判るとして珊瑚綾錦の中の珊瑚(さんご)が お宝として何故重宝されたのか
ちょっと不明です。見た目がきれいだったからか、その他の薬用とかで貴重なモノだったのか、理由はあったのでしょうが正確には判りません。
日本近海にはない珊瑚が登場するのが変ですね。珊瑚は南方諸国にしか産出しないのです。
※ 戦時中は、その事例から、桃太郎一隊は南方に進攻したのだ---と書かれた勇ましい絵本もありました。鬼達は 勿論「 鬼畜米英 」でしたよ。
----- 以上までは、多分 誰でも納得するストーリーだと思いますが、実際は そう簡単ではありません。
桃太郎の「 桃」は岡山県特産の果物か?。---- 桃と云えば山梨県ではありませんか?。
岡山県特産の果物とは思えないのですが(・・・その頃は岡山県特産だったのかな。)。
叉、桃太郎一行は 山陰内陸部へ ではなく 絵本では 海を渡って鬼退治に出かけています----となると鬼が島はどこの島を指すのか、これも正確には不明です
まあ、筋書きを あまりホントにしないで、“ 目くらまし” の意図から「 海」とか「珊瑚」とか、本来 無いものを途中々に入れた、と考えるのが正解かもね。
その他の不明な箇所も多々ありますよ。
ただ、その不鮮明さのせいもあってか、桃太郎にまつわる話や桃太郎神社のタグイは全国にまたがっています。(北海道にもある)
これを創った作者にとっては、それで良かったのでしょうよ。
一地方の民話で済ますよりは全国ネットで読まれた方がいいのは当然なのですから・・・・そう考えた方が合っているでしょうね。
それだけに、諸説が多くなって広まった事は 思う壷だった筈ですよ。
然し、その事が逆に、物語が本来もっている意味(史実の伝承)までも失って現在に至ったのは、作者の意図以外だったでしょうね。
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これをお読みの方、お子さん お孫さんに桃太郎の話を聞かせる時の参考として下さいませ。
いろんな事柄を踏まえて話をするのと、絵本の棒読みとでは聞き手の お子さんの反応も違って来ると思いますよ。
-----と申しても、子供にここの記述を丸ごと話されても、無理があるとも思われますが。
あくまでも参考資料として利用して下さい。
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参考
とあるメル友に そんな話をしたところ、下記のようなRes:が届きました。
> 桃太郎のお話、なるほどと思いました。
> 私も詳しいわけではないのですが、
>
> 青鬼・黒鬼…
> 金や銀をとるのに灰吹き法というのがあります。
> 金または銀を含む鉱石と鉛を混ぜて加熱して
> 空気を吹き付けると鉛が酸化して灰状になって吹き飛ばされ
> 金あるいは銀が残るものです。
> また、砂金から金を集めるために
> 水銀アマルガム法というのもあります。
> ドジョウすくいで大まかに集めた砂金に水銀を混ぜると
> 金と水銀の合金ができます(金アマルガム)
> こいつを加熱すると、水銀が蒸発して金が残ります。
> これは、奈良の東大寺の大仏の金メッキにも使われた方法で
> 蒸発した水銀を回収して再利用するため、
> 早い時期に伽藍が作られ、またこのための水銀は
> 全国から集められました。
> 地名で『丹』がつくところは大抵、このころに
> 朝廷に水銀を上納した土地だという話を聞いたことがあります。
>
> つまり、赤鬼が溶鉱炉等による慢性的な火傷であるように
> 青鬼・黒鬼は鉛や水銀などの重金属による慢性的な中毒では
> ないでしょうか?
>
> まったく根拠があるわけでもない単なる想像ですが…
>
> とりとめもないメールになってしまいました。
>
> これからもよろしくお願いいたします。
.
-----S生より---
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別件
現在の皇居は、ご存じのように、その昔は江戸城で徳川の拠点でした。
その当時の徳川が怖れたのは西国諸国の動向や反乱もさる事ながら、得体の知れぬ東北地方(蝦夷)だったとか。
そのために江戸城の鬼門に当たる北東の地(上野)に東照宮を建て、家康を祀ったとあります。家康の威光をもって外敵を威嚇したのでしょう。
更に加えて、はるか北東の地 日光にも壮大な伽藍を建立し同じ役目を課したとも考えられます。
江戸城---上野の東照宮----日光の東照宮、これらが鬼門方向一直線上に建てられているのが驚きでした。
十二支にこだわる日本人の性質がよく分かりますね。
(蛇足ながら--- 今でも普通の住宅では鬼門方角に玄関を作ると不吉な鬼が入って来るとの言い習わしがあって 避けている場合が多いとか。)
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※ 今回は、こんな話でも 面白いかな、と思って取り上げてみたのですが、この話は私のオリジナルではありません。
すべて諸説から選んでアレンジしたみたいなもの。
従って 違っている箇所もありや、とも思うし 叉、正確であるとの保証もありません。--- そんな話もある、との軽い話題として お受け取り下さい。
・・・それにしても少し長くなりすぎたかな...。
※ なお、掲載した写真は 講談社の絵本
「桃太郎」昭和十二年一月一日発行 定価四十五銭