ある日在る朝、主人公が特別の理由もないのに、突然逮捕される。裁判にかけられるが、まるで事情がわからない。
何もかも わからないまま最後は刺し殺されてこの小説はオワリとなります。テーマは “ 孤独と不安 ” 。
この小説では、神を否定したり、葬り去ることはありません。神は最初から存在しないのですよ。
この小説の第9章「伽藍」は「カラマーゾフの兄弟」の中の「大審問官」同様 劇中劇になっていて有名なもの。
ある男が、伽藍の前に来て、入ろうと思いながら、門番に掟(おきて)のためと云う理由で止められ、許可の降りる迄待つ間に、トシをとって死んでしまう と云う筋書きになっている。死ぬ間際に許可が下りるのであるが、結局死んでしまう。
虚無主義(ニヒリズム)は西洋思想の中で、キリスト教と両立するだけの、大きな思想として存在していますね。
ニヒリズムの根源は、古代ギリシャ哲学、いわゆる「ヘレニズム」にあります。
ギリシャ人の物の考え方、それは極度に合理性を重んじるものであり、アリストテレス、ピタゴラス、ユークリッド等に代表されるものであるが、その思想の行き着く先に徒花(あだはな)として咲いたのがニヒリズム。
「ヘブライズム」と呼ばれるキリスト教的なモノの考え方と、このヘレニズムとの合理的なモノの考え方、その二つの大きな思想が、二千年にわたってヨーロッパを支配して来たとみるべきでしょう。
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