----------- 終戦の半年前くらいだったでしょうか。
ガダルカナルの戦い
粥(かゆ)
ここにして、これあり
これぞ、これ米の粥
はろばろと数千里
よし芦原瑞穂の国の御宝だ
一年(ひととせ)を汗にまみれたる
磨きあげたる真珠宝石
わだつみの逆巻く潮(うしお)を
乗り切れて
いのちに代えて海軍さんの
護り来し神のたまもの
敵機の下を転びて
雨なす弾丸(たま)の中這ひつ
汲みたる水を飯ごうに入れ
爆撃ごとに火を消して
去りては又焚きつけ
つとめて煙出さぬ如く
ねじり鉢巻きして炊き上げたる
この味に二つなし
いささか塩っぱい海水に
とぎしたのもぞ
(わが涙までまじりしならじ)
いざ食らへ
わが戦友(とも)よ
食はで死にし
わが戦友よ
これぞ、この米の粥ぞ
----吉田嘉七-----
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