大審問官でのイワンの無神論を暴論ながら一言で纏めてみると、次のようになると思うのですが・・・・。
1「人間はパンのみにて生きるにあらず」これはおかしい。面前にたむろする飢えたる大群集の姿をどう見るのか。
2「神の子」であるのなら奇跡を起こす事が出来た筈だ。お前は何故そうしなかったのか。「神を試してはならない」この論法はおかしい。
3「カイザルのものはカイザルへ」そう言ってお前は地上の権力を持つ事を否定した。世界平和の達成は地上の権力を持たずにしては成功しないの だ。それを知らないわけはない。
長男のドミートリーは単純明解な男でありながら思慮に欠け態度がおおざっぱ。美女グルーシェンカをめぐり父親と争っていました。
イワンは父親を徹底して嫌悪している冷徹な次男、その頭脳は抜きんでて鋭く彼の説く「無神論」は上記の論調のように一分の隙もありません。(なお、この小説は当初このイワンを中心にして「或る無神論者の手記」の題名で書かれたとの事です。)
三男アリョーシャは信仰心が篤くイエスの再来と思われる程の人物です。
スメルジャーコフは父親が下女に生ませたイワンのエピゴーネン(陰の男)でイワンの意識下の願望を実現すべく実の父親を殺害します。
間もなく、ドミートリーが犯人として捕らえられた事で、真相を知っているイワンが発狂し、スメルジャーコフの自殺で終結します。
おぞましいこの家庭の悲劇は美しい理想を失ったロシアの実相だとされました。然し、老修道僧ゾシマとアリョーシャは新生ロシアを予告したものだとか。その精緻で完璧なストーリーは世界中から注目を浴び驚嘆と共に絶賛され続け現在に至っています。
-------------- まあ〜云うまでもなく、世界最高峰の文学作品でしょう。
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