2010年7月10日土曜日

江戸川乱歩「芋虫」



傷痍軍人の須永中尉を夫に持つ時子には、奇妙な嗜好があった。それは、戦争で両手両足、聴覚味覚といった五感のほとんどを失い、ただ視覚触覚のみが無事な夫を虐げて快感を得るというものだった。夫は何をされてもまるで芋虫のように無抵抗であり、また、夫のその醜い姿と五体満足な己の対比を否応にも感ぜられ、彼女の嗜虐心は尚更高ぶるのだった。
ある時、時子は夫が僅かに持ちうる外部との接続器官である眼が、余りにも純粋であることを恐れ、その眼を潰してしまう。悶え苦しむ夫を見て彼女は自分の過ちを悔い、夫の身体に「ユルシテ」と指で書いて謝罪する。
間もなく、須永中尉は失踪する。時子は大家である鷲尾少将と共に夫を捜し、「ユルス」との走り書きを発見する。その後、庭を捜索していた彼女たちは、庭に口を開けていた古井戸に何かが落ちた音を聞いたのだった…。
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なんとも云えず気持ちの悪い小説でしたなあ〜〜。
その分、中身は全部キレイにそのまま高校時代から記憶に残って現在に至っております。

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