2010年9月4日土曜日

大東亜戦争肯定論

 
 作家・林房雄は、『中央公論』に1963年から1965年にかけて、16回にわたりこの題名の論考を連載した。その後、1964年・1965年に番町書房より単行本として刊行され、以後数次にわたり復刊され、2001年に夏目書房から復刊された。
 ここで林は、戦後「太平洋戦争」と呼び変えられた大東亜戦争の名称をあえて用い、これは「東亜百年戦争」とも呼ぶべき、西欧列強によるアジア侵略に対するアジア独立のための戦いであった、と述べた。しかし同時に林は、その理念が捻じ曲げられ、「アジア相戦う」ことになったことを悲劇と見て、「歴史の非情」を感じると述べている。
 後半は、幕末期の歴史に説き及び、西洋の衝撃に対して維新の志士たちがどれほど誠実に対処したかを論じるなど、話題は多岐に及ぶが、戦争協力作家と見られていた林が、長年の憤懣をぶちまけた書とも言え、左翼・戦後民主主義勢力からの批判は浴びたが、林はこの連載が始まってから、「朝日新聞」で文芸時評を担当している。
 しかし上に見る通り、題名から想像されるような全面肯定論ではなく、また「東京裁判」とは別の意味で、天皇に戦争責任はあると述べている。
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 この本は確かに私も読みましたが、単なる三文論文とは違って、かなり しっかりした内容でしたね。
 戦後に於いては、反戦となれば云うは易く、好戦となれば当然ながら逆風が吹くのは当たり前、それを敢えて承知の上で発刊した彼の勇気には最敬礼をしましたよ。

 ただ中身となると、現在に至り覚えている箇所もなく、時流に乗って読んでみただけ、との軽い気持ちが思い出される程度かな。
 ------------ ご免なさい。

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