2013年12月8日日曜日

12月8日


12月8日 高村光太郎の詩

  危急の日に
「此日天気晴朗なれども波高し」と
あの小さな三笠艦が曾て報じた。
波大いに高からんとするはいづくぞ。
いま神明の気はわれらの天と海とに満ちる。
われは義と生命とに立ち、
かれは利に立つ。
われは義を護るといひ、
かれは利の侵略といふ。
出る杭を打つたんとするは彼にして、
東亜の大家族をつくらんとするは我なり。
有色の者何するものぞと
彼の内心は叫ぶ。
有色の者いまだ悉く目さめず、
憫むべし、彼の願使に甘んじて
共に我を窮地に追はんとす。
力を用いるはわれの悲しみなり。
悲愴堪へがたくして、
いま神明の気(き)はわれらの天と海とに満ちる。
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以上、昭和16年12月8日
高村光太郎ですよ!------。

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