2012年2月22日水曜日

金子みすゞ


  日の光
 おてんとうさまのお使いが
 揃って空をたちました。
 みちで出逢ったみなみ風
 (何しに、どこへ。)とききました。

 一人は答へていひました。
(この「明るさ」を地に撒くの、
 みんながお仕事できるやう。)

 一人はさもさも嬉しさう。
(私はお花を咲かせるの、
 世界を楽しくするために。)

 一人はやさしく、おとなしく、
(私は清いたましひの、
 のぼる反り橋かけるのよ。)

 残った一人はさみしさう。
(私は「影」を作るため、
 やっぱりいっしょにまいります。)
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  昼の月
 しゃぼん玉みたいな
 お月さま
 風吹きや、消えそな
 お月さま。

 いまごろ
 どっかのお国では、
 砂漠をわたる
 旅びとが、
 暗い、暗いと
 いってましょ。

 白いおひるの
 お月さま、
 なぜなぜ
 行ってあげないの。
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 金のお好きな王さま

 金のお好きな王さまの
 御殿は金になりました。

 王さまのお手が触れるとき、
 薔薇も残らず金でした。

 王さまのお手が抱くときに、
 おひめさまさへ、金でした。

 王さまのお手のとどくとこ、
 世界はみんな金でした。

 けれども、けれども、
 そのときに
 空はやっぱり青でした。
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      星とたんぽぽ

     青いお空のそこふかく、
     海のこいしのそのように、
     夜がくるまでしずんでる、
     昼のお星はめにみえぬ。
     見えぬけれどもあるんだよ。
     見えぬものでもあるんだよ。

     ちってすがれたたんぽぽの、
     かわらのすきに、だァまって、
     春のくるまでかくれてる、
     つよいその根はめにみえぬ。
     見えぬけれどもあるんだよ。
     見えぬものでもあるんだよ。 

 若い頃、勤務先での事。当時は全国ネットで営業を展開していて、各人、股にかけて日本中を走破していた頃。
 前任者からの申し送りがあって、あの地域での宿泊は仙崎に限るとの事でしたね。
 そんな事で数年間、仙崎との縁が続きました。
 ・・・・そうとは申せ前任者からの申し送り事項には「金子みすず」の名はありませんでしたねえ。
 結局、数年間、みすずの名も知らず仙崎に居を構えて あそこ一帯でバリバリ仕事を続けました。
 結局、みすずの名を知ったのは、後年、家内が手にしていた「 みすず全集 」を見てからではなかったかな。
 .....そんなもんでしたよ。
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 海の魚はかはいそう

 朝焼け小焼けだ
 大漁だ
 大羽いわしの
 大漁だ
 浜は祭のようだけど
 海の中では何万の
 いわしのとむらいするだろう

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