この自殺未遂に対する国内の反応は冷ややかでした。
高見順は「敗戦日記」のなかに、次のように記しています。
「期するところがあって今まで自決しなかったのならば、なぜ忍び難きを忍んで連行されなかったのだろう。(中略)生きていたくらいなら裁判に立って所信を述べるべきだ。
また山田風太郎も「戦中派不戦日記」のなかに、「なぜ東条大将は阿南陸相のごとくいさぎよく死ななかったのか。(中略)逮捕状が出ることは明白なのに、今までみれんげに生きていて、外国人のようにピストルを使って、そして死に損なっている。日本人は苦い笑いを浮かべずにいられない」と書いています。
東条大将は腹の皮を思い切って引っぱり上げ、その横からピストルで穴を開けただけであった---この説が私共のまわりで言いふらされていたウワサでした。
以上は私の「----切り抜き帳」から。
いずれにせよ、東京裁判では死刑の判決を受け、彼はそのまま消滅しました。
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