2010年9月9日木曜日

「王子と乞食」

 

 1537年10月12日、イングランドに2人の男児が生を受けた。1人は時の国王ヘンリー8世の世継ぎとして生まれたエドワード・テューダー。もう1人はイングランドで最も賤しい貧民窟に生まれたトム・キャンティだった。エドワードは未来の国王としての期待を一身に受け、豪奢な宮殿に住んで温かい食事や高級な衣服を与えられ、何十人もの家臣や侍女にかしづかれ、何不自由無い暮らしの中で育った。一方トムは、飲んだくれで乱暴者の父親を持ち、汚いあばら家に住み、金も無い為にパン一つ買う事すら出来ず、常に寒さに震え、飢えと乾きに苛まれていた。また、働かない父の代わりに物乞いとして道端で金や食べ物を貰っては、「たったこれっぽっちか」と父から暴行を受ける日々を送っていた。
 やがて10歳の誕生日を迎えた2人は、エドワードの住居であるウェストミンスター宮殿の門前で運命的な出会いを果たす。日頃から自分とは全く違う恵まれた生活を送るエドワードを羨んでいたトムは、王子の姿はどんなものかと宮殿の柵に駆け寄り、一目見ようと身を乗り出す。その時透かさず番兵がトムを捕えて宮殿の敷地から摘み出そうとした。すると「やめよ!」という威厳ある声が背後から聞こえた。その声の主は今まさにトムが見ようとしていたエドワード王子だった。危うい所を助けられ、トムは王子に礼を言う。すると王子はトムに宮殿の中へ入るように勧めてくれた。トムは身分の差を感じて一度は断るも、遂に宮殿の中へ入る事に。エドワードは見たことの無いトムたちの生活をしきりに聞きたがった。話し合ううちに2人は気付く。お互いがまるで双子のように顔が酷似している事に。エドワードはこれを知ってある事を思い付く。それは今だけ互いの服を交換し、それぞれの人物として過ごすというものだった。実はエドワードも堅苦しい宮廷生活に嫌気が指し、外に暮らしている子供たちの持つ自由に憧れていたのだった。
 しかし“乞食のトム”として外へ出たエドワードは早速番兵に見咎められ、外へ追い払われてしまう。一人残されたトムは宮殿内で家臣や貴族たちに訝しがられる度に事情を説明しようとするがどうしても“王太子エドワード”としてしか見られない。だがエドワードは下々の人々と会って話をし、貧困に喘ぐ民の姿を見る事で世の現実を身を以て味わわされる事になる。トムもまた、どう見ても馬鹿げているとしか思えない宮廷の制度を見るうちに、富に囲まれていると思われた王室の生活に空しさを覚えるようになった。そして互いが偽りの生活で受難する日々の中、ある一つの事件がイングランドに忍び寄ろうとしていた……。
  以上 wikipediaより
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 これも、読んだのは中学時代だったと思いますが、感動の一編でした。

 特に彼王子の最後のセリフ、それは------この私は下々(しもじも)の気持ちを よく知っているぞ----------とか、そんなセリフだったと思うのですが、グイ!と来ましたね。

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