2011年1月20日木曜日

高村光太郎の詩

 
 

新年は見る(高村光太郎の詩)

昭和19年(1944)01月01日 

どんな降誕祭の祝福を
米英の元首等はいただいたか
どんな殊勝なお祈りを
彼等はクリストさまにささげたか。
クリストさまは言はれたらう、
爾曹みづから自由を尊べ、
東亜のものは東亜にかへせと。

何の為に君等は国民の血を流すのだ。
世界に新しい世紀が来て
君等の算盤が一度御破算になるといふ
はっきりした人文劃期の動きを見よ。
君等は洗ひざらひ使ひ果たして
それから目がさめるつもりなのか。
新年は目を見張ってゐる。


いざといふ其のいざといふ気が隅隅まで
三年目に完熟したのを新年は見る。
君等もやるだけやる気なら
神国日本の意味がやがて分かる。

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